葛木神社2016年12月18日 14時26分45秒


善き事も一言
悪しき事も一言
只一言宣えば叶う神
一言主である

目の前に現れた神のその言葉に
雄略天皇は恐れ入り
太刀や弓矢
家来らの衣服を次々剥ぎ取り
一言主神へ献上した

雄略天皇が葛城岳で
自分達と瓜二つな一団に出喰わす場面
記紀に唐突に挿入されるこの件は
大和朝廷が統一王朝となる以前の
王権に匹敵する勢力を持った
集団の存在を暗示している

その頃は本当に
言葉が力を持ち
口から発せられた言葉は
そのまま現実となった
言葉を自在に操る者に
未熟な時代の倭の王は
驚いたのかもしれない

在地豪族の葛城氏
何代にもわたって
一族から天皇の妃を輩出し
有力者として君臨していた

雄略天皇はサイコパスかと思えるほどの
残忍な悪行を繰り返す男であったらしい
葛城氏はこの暴君に
ほとんど滅ぼされてしまったという
記紀の挿話はそんな葛城氏への
鎮魂の物語なのかもしれない

葛城岳の山頂は禁足地として
現在でも足を踏み入れる事ができない
その前に鎮座する
一言主神を祀る神社
無残に滅ぼされた魂を
頑なに守り続けているようだ

一言主神の適確な言葉は
もう聞こえない
世界の至る所で
矛盾と悲惨が生じてる
一言で言い放つあの神は
こんな時代を
どんな言葉で
語るだろう

反知性主義が勝利する
垂れ流される醜い言葉
戦争が露出する
その他大多数は
自分の頭で考える事を止め
犬のように尻尾を振り続けてる

何一つ伝わらない
薄っぺらな言葉の群れ
あなたの胸を鋭く突き刺す
必殺の言葉があったらいいのにな

葛木神社

葛木神社

葛木神社

葛木神社
奈良県御所市高天476