磐船神社2017年01月09日 18時37分54秒


幾千の星を波立たせ
巨大な船が銀河を往く
その艦首に佇むのは一人の男
遥か下方に太陽が現れる
男の横顔が浮かび上がる
威厳と自信に満ちたその顔
男はこの地を選んだ
ヒノモトのクニ
日本の国と
この地を呼んだ

轟音とともに船は着地し
男とその一族が降り立った
争いを好まぬこの地の人々は
男らの不思議な力に魅了される
月を読み歳を読み
人為的に作物が得られることを知った
土を掘り風を読み熱を操り
人為的に金属の道具が得られることを知った
次々に繰り出される神の言葉
男は人々の神となった

男は幾つもの名前で呼ばれた
大歳オオトシ
天火明命アメノホアカリノミコト
饒速日命ニギハヤヒノミコト
そして極め付けのフルネーム
天照国照彦天火明櫛玉饒速日命
アマテルクニテルヒコアメノホアカリクシタマニギハヤヒノミコト
何とも長い名前である
隕石のように天から降ってきて
天と地を賑わいで照らしまくるこの男を
畏怖と崇敬を持って
人々がその名を呼んだことは
容易に想像できるだろう

似たような話で思い出すのは
古事記や日本書紀における天孫降臨の件
天照大神の命によって
天照大神の孫である邇邇芸命ニニギノミコトが
高天原に降り立つ
その曾孫である神武天皇が大和の地に入り
初代天皇となって現代まで続いてるというのが
もっぱら巷間の常識だ

だがよく考えてみよう
神武はニギハヤヒから皇位を譲られているのだ
古事記や日本書紀を著すにあたって
先代の大王の活躍ぶりは
どうにも不都合極まりなかったのだろう
天から降ってきたなんていう
格好いい件はパクってしまえと
悉くこっち側に取り込んでしまった
というのが真実ではなかろうか
ニギハヤヒとニニギ
なんとなく名前が似てるしね

ひょっとして
僕らがイメージする日本の神様の代表
天照大神も実は
パクリの産物なのかもしれない
もう一度ニギハヤヒのフルネームを見て欲しい
その名の先頭に「天照」と明確にあるではないか
歴史と伝統溢れる権威の塊のあの伊勢神宮が
実はカラッポだったなんて
果たして言い過ぎでありましょうか

銀河を渡ってきたあの船は
大阪府交野市の山奥に現存する
大王の譲位の後
その役目を終えた船体は
すっかり石と化してしまったが
陰茎のように聳り立つ艦首は
あの男との船出を
今でもきっと待っている

磐船神社

磐船神社

磐船神社

磐船神社
大阪府交野市私市9-19-1

姫島神社2017年01月29日 17時13分16秒


太平洋戦争の末期
それまで日本が統治していた南洋諸島が
次々とアメリカ軍に占領されていく
そんな中
帝国陸海軍の軍人軍属31名と
南洋興発株式会社の社員1名および
同社社員の妻1名が
南海の孤島に取り残された
男32人と女1人
1人の女を巡って
殺し合いが始まる
女は島の女王となった
女を求め奪い合い殺し合う男達
その様を眺める女のその瞳は
喜悦に溢れていた

大阪市の西淀川区には
島のつく地名が幾つもある
歌島、竹島、出来島、中島、西島、姫島、百島、御幣島
今ではどこも島なんかではなく地続きの土地だ
遠い遠い古代
まだ海だった此処に
淀川が運ぶ土砂の堆積が
幾つもの島を形成していった名残だという

長い長い時間の中で
島々に半農半漁の集落が築かれていったらしい
人々の暮らしぶりを伝える文献など存在しないが
地名と神社がそのエビデンスとなる

西淀川区姫島には姫島神社がある
祀られているのは女神
阿迦留姫命アカルヒメノミコト
新羅国の沼の畔で昼寝をしていた女が
股座に射した光で妊娠
やがてこの女は赤い玉を産む
その玉がアカルヒメと化したという

周りを海に囲まれた小さな島
その閉ざされた世界で懸命に生きる人々
現れた姫は
熱狂的に受け入れられたのか
或いは疎まれたであろうか
神社の由緒によると
姫は女性達に機織や裁縫
焼き物や楽器を教え
病に苦しむ人には治療を施したとある
進んだ技術と呪術を持って
大陸から渡来した集団だったのだろう
大いに尊崇を持って受け入れられたことは
想像に難くない

情報技術は世界を拡げたのだろうか
結局は限られた人と閉じた場所の往復と
そんな島の生活のような毎日を
誰もが過ごしている
ニュースで言ってる異常な事件は
一人一人の孤島で起きているのかもしれない
女神のいない孤島
であれば
古代人のように
外に漕ぎ出すしかないではないか

この姫
かなり気の強い女だったようだ
調子に乗った旦那が
あんまり罵ったりするので
巫山戯るなと旦那を捨て
日本へやって来たのだという
その後旦那が姫を探して来日するが
二度と顔を合わせなかったそうだ

泣きながら姫を追いかけてきた
この旦那の名は
天日槍アメノヒボコ
その顛末はいつかの機会に

姫島神社

姫島神社

姫島神社
大阪府大阪市西淀川区姫島4-14-2