秩父神社〜武蔵国四之宮2017年11月26日 11時45分37秒


男は深く思考する
誰もが軽薄に短絡に
ペラペラと
体良く場を取り繕うその中で
男だけは深く思考する
そして
男の重たい口が開く
太く低い声で語られる言葉は
暗闇となった世界に
光明を取り戻す

秩父の駅を出た刹那
嘘のように雨雲が掻き消え
武甲山が顔を出した
秩父神社の神奈備山
威容を誇る霊峰

街は生糸とセメントで栄えた
巨大な資本が流れ込み
仕事を求めてまた人が集まる
人の集まるところには必然
遊廓ができる

秩父神社の周辺に
こぢんまりと繁華の街は凝縮し
その残渣が今も
嘗て生まれたであろう
無数のドラマを想起させ
訪う人を魅了する

秩父神社の祭神は
八意思兼命ヤゴコロオモイカネノミコト
アマテラスが岩屋戸に籠もった際に
引きずり出すべく計画を練った
知恵者である
ニニギの天孫降臨の際に
アマテラスが訓示を垂れるシーンで
傍に控える幹部としても描かれる

ここで再び
神武以前のニギハヤヒ王朝の存在を伝える史書
未だ偽書と言われその内容を認めてもらえない
先代旧事本紀の記述を見てみよう
ニギハヤヒ王朝では
日本全国各地に国造クニノミヤツコを置き
その支配を磐石なものとしていた
国造の制度は
実に大和朝廷以前から確立されていたものなのだ

ニギハヤヒ王朝の幹部連のリストがある
各地に配置された国造や連ムラジ達の
祖神としてその名が連ねられている
オモイカネもまたリストアップされた一人なのだ
頭の良い男だったのだろう
ニギハヤヒのブレーンとして
大いに活躍したに違いない
それら幹部の子孫達が
各国へ国造として派遣されたということだ

リストにはアメノウズメやアメノコヤネの名も見える
ニギハヤヒから神武へと王権が譲位された際に
国造の制度は継承され
そのまま大和朝廷に従う者
或いは抵抗し消されていった者
そして記紀には
都合の良い記述で事実が捏造隠蔽されていった
というのがどうやら見えてくる結論だ

頭の良いオモイカネ或いはその末裔は
己の身の振り方を考えたに違いない
大和朝廷に従ったのは
記紀にその活躍と名を残していることで
明らかだ

ここ秩父も国造が置かれていたらしい
つまり嘗てはニギハヤヒ王朝の
支配下にあったということだ
オモイカネのカネは金であり
鉄や銅の生産地だったのかもしれない
武甲山には神座たる巨石など
ニギハヤヒの系譜を物語る信仰装置が
いくつも残っていたそうだ
富国強兵の石灰採掘で
今や悉く破壊され消滅しているが

秩父神社の社殿配置を見て欲しい
本殿両脇には
恭しくアマテラスとトヨウケヒメ
つまり伊勢神宮を配置
そしてその裏側には
天神地祇社として
全国の一宮の神を
これでもかとばかり集結させている
抵抗するなよ
わかってるだろうなと
知恵出しを無理強いされているように
私には見える

戦後の父親達が猛然と追い続けた繁栄
続々と建設された構造物は
巨大地震なんかにゃビクともしないさ
世界に誇る日本のエンジニア達の知恵の結晶
それに
何と言っても
神々の山から産み出された
コンクリートで出来ているのだからな

秩父神社

秩父神社

秩父神社

秩父神社

秩父神社

秩父神社
埼玉県秩父市番場町1-1