元宿堰稲荷神社〜煙突の見える場所2014年10月04日 22時55分04秒


昭和38年にその役目を終えるまで
千住に東京電力の火力発電所があった
巨大な4本の煙突はお化け煙突と呼ばれ
未だ下町の風景として語られるのをよく聞く
発電能力75,000kWと
福島第一原発の僅か2%にも満たないが
当時は国内最大規模の発電能力を誇っていた

発電所は無くなったが
元宿堰稲荷神社という
発電所の守護社がこの地に残っている
今まで見たこともない構造物の建設と
火を扱いエネルギーを産み出し続けるその事業に
守護する力の必要を皆が感じていたのだ
周りで暮らす人もこれで納得したのかもしれない

ここから北千住の駅へ抜ける途中に
大門通り商店街がある
その名の通り由緒ある遊郭がそこにあった
戦後は赤線となり
千住火力発電所の電気で
夜通し街頭やネオンが煌煌と灯っていたことだろう

数年前にはまだ残っていた赤線建築は
今日はもうほとんど見つからなかった

原発再稼働やら温暖化ガス排出削減やら
再生可能エネルギーやらが議論されているが
そろそろそもそも
一人一人にどれだけ電気が必要だったのかを
議論してもいいのではないだろうか
単に欲を満たすためだけだったという結論であれば
需要は無限に膨れ上がるのは必至だ

電気をバンバン使うため
もくもくと煙があがっても我慢しなきゃ
電気をバンバン使うため
放射能に怯えて一生暮らさなきゃ
電気をバンバン使うため
気候変動の災害にも堪えて生きなきゃ
電気をバンバン使うため
高コストの発電だって受け入れなきゃ
電気にもガスにも水道にも
あるのが当たり前なんて思わずに
もっと納得して高い金を払わなきゃ

そうだ
税金のように所得に応じた
公共料金徴収制度なんてどうだい
金持ちからは馬鹿高い電気代を取るんだ
セレブなんでしょ
下々に電気ガス水道を分け与える功徳
強欲で地獄行きだった人も
これで悪い死に方はしないと思うよ

そういえば
原発には守護社があるなんて聞いたことはないが
やり方によっては
違った展開になっていたかもしれないぜ



元宿堰稲荷神社
東京都足立区千住桜木1-15-5


境外社
東京都足立区千住桜木1-5-2


三十番神七面大明神2013年10月19日 22時31分22秒

一日は熱田大明神
二日は諏訪大明神
三日は廣田大明神

室町時代の神道家
吉田兼倶は朝廷と幕府に取り入り
宗教界の実権を掌握
その地位を高めていく
勢いを仏教界へも拡げ
記紀神話の神が仏教の神と融合していく

仏教の帰依者を守る神々を
一ヶ月三十日にそれぞれ配するという
平安時代に中国から伝わった番神信仰
吉田はこれを利用し
法華経を守護する神として
一ヶ月三十日にそれぞれ記紀神話の神々を配置
法華三十番神をブチ上げた

なにせこの神様
一日交代で
まるでカレンダーのように
日本各地の有名な神様が配置されてるという
まさに日替わり神様
あるいは日めくり神様
近所にあったら
わざわざ遠くに行かなくとも
毎日有名どころにお参りできるという便利さ
江戸時代まで爆発的に流行していたらしい

明治以降
三十番神信仰は下火となり
人々から忘れ去られる
神仏分離令により
日蓮宗のお寺にあった番神堂は
ほとんどが廃棄された
しかしそれ以上に
西暦への転換が
三十番神の意味を奪っていったのかもしれない

足立区に残る三十番神は
地元の豪族の屋敷神だったという
外からは仏教との結びつきは見えないため
破壊を逃れたのだろうか
今でも地元では
社の前の通りをばんじん通りと呼び
毎年お祭りも続いているという

欲と野望に満ちた男の
思惑から生まれた神様ではあるが
膨大な時と祈りと思いを受けて
独自の神格として変容していったに違いない

因みに十日は伊勢神宮
十一日は石清水八幡宮と
そうそうたるメンツを揃えるこの神社
もしかしたら
隠れた強力なパワースポットなのかもしれないぜ




三十番神七面大明神
東京都足立区足立2-8