榎第六天神〜縁切榎2014年11月15日 21時45分56秒


日夜ストーカーやDV男に悩まされる人達
腐れ縁で離婚できない人達
嫌いな上司の顔も見たくないと思ってる人達
板橋の縁切榎は
そんな悪縁を断ち切ってくれるご利益のある
超有名な信仰施設だ

小さな空間に
溢れるように絵馬が吊るされ
その絵馬には夥しい文字で
悪縁への想いが綴られている
こんなにも
誰かとの関係を断ち切りたいという想いを抱いて
人は生きているものなのかと
少し驚く

小祠にはあの第六天が祀られている
縁切りと第六天
全く繋がらないが
何故だろう

縁切寺というのが存在していた
単なる縁切りの祈祷所なんかではない
女性からは離婚が不可能だった時代
この寺に駆け込み
3年経つと離婚は成立するという
そんな社会システムが存在していたのだ

恐らく離縁を望み逃亡を図ったのだろう
門前で男に捕まりそうになっている女性が
自分の草履を門内に放り込む絵が残っている
これで縁切りは成立したという
男はチクショウと地団駄を踏んで
すごすごと帰ったのだろうか

為政者による統治が及ばない空間
無縁所あるいは公界所と呼ばれた場所は
寺院だけでなく市や宿
さらには堺のような自治都市として
存在していたという

親類や主従関係の縁を断ち切り
逃亡した人達は
その境界を超えることで
ある意味自由を獲得したのだろうか

縁切りできますようになどと
お祈りして満足するような
甘っちょろいものでは
なかったことだけは確かだ

江戸時代の古地図を見ると
縁切榎のある場所は
中山道に面した板橋宿の最果てにあたる
恐らくは
無縁所の機能を有した空間がそこにあった
さらには
その象徴として第六天が祀られていた
ということだろうか

今では第六天信仰の本質は
謎に包まれているが案外
第六天は無縁所として機能していた
明治政府はそれを嫌い破壊した
というのが真実なのかもしれない
というのは私の勝手な説



榎第六天神(縁切榎)
東京都板橋区本町18