赤羽八幡神社2019年08月04日 16時21分53秒


爆音の渦の中
それに負けじと男の声は伸びる
戦いの歌を
勝利の歌を
高らかに謳い上げる

赤羽はエレファントカシマシの街だ
彼等がデビューした時の衝撃は忘れない
夜中のテレビに現れた彼等は
牙を剥き出しに
糞ったれの社会をさらには
全世界を相手にケンカを吹っ掛けてた
ように見えた

新譜が発売される毎に
その楽曲は深化し
しかしその方向はどこまでも内面へ向かう
そして4枚目くらいで完全に昇華仕切った
ように聞こえた

耳障りも差し障りも良く無いし
カラオケで歌うような代物でも無いし
こりゃ売れねえよな
っていう彼等の楽曲が大好きだった

音楽雑誌かなんかで
赤羽出身っていうのを見たのか
それからは赤羽といえば
エレファントカシマシになった
訪れたのは初めてであるが

赤羽駅から程近く
赤羽八幡神社はある
坂を登り新幹線の高架をくぐると
鳥居が見えてくる
最近では関ジャニのファンが訪れる事で有名
ってどうでもいい話だな

土器やら鉄片やらが出土し
どうやらここには古墳があったらしい
坂上田村麻呂が東征の拠点にした
という伝承があるらしいが
聖地の上にズカズカと踏み入って
踏ん反り返っていたに違い無い
さぞや先住の人々から顰蹙をかったであろう
つまり御多分に洩れず
聖地の上に八幡神を乗っけることで
征服のシンボルとしたのである

その後その手法は踏襲され
源氏や太田道灌など
その威を人々に示し続ける装置として
八幡神社は崇め奉られた

時は流れて戦前
赤羽駅周辺は一大軍都として栄える
旧陸軍工兵第一大隊の駐屯地は
神社の境内を侵食し
その営内を鉄道の引込み線が走った
軍用地として摂取された後
人々の通い慣れた坂道は
通行禁止となったらしい

そして戦後
旧軍用地には団地が立ち並び
上越新幹線は神社の真下を潜り抜ける
もう東国の勢力なんてあるわけ無いのに
何を恐れているのだろう
無残に征伐された蝦夷の怨霊が
鉄路に乗って都心に入るのを
防ごうとしているのかもしれない

見えてくるのはいつも
支配者と被支配者の歴史
虐げられた人々は
糞ったれと吐き捨てて
不貞寝するしか無いのだろうか
時に現れる錬金術士たちの言葉や旋律に
慰めを見出すのもまた
生きる術なのかもしれない

「我も彼等に負けまいと
 優しい日本の四季を見て
 これも浮世と諦めて
 涼しげに
 人の思いは十人十色
 優しい言葉を掛けるのもいい」

(「見果てぬ夢」エレファントカシマシ)

赤羽八幡神社


赤羽八幡神社

赤羽八幡神社
東京都北区赤羽台4-1-6

四本木稲荷神社2014年06月22日 15時19分29秒

俺は造兵廠滝野川工場火具製造所に勤めている
毎日このでかい圧輪を回して黒色火薬を作る
仕事中はほとんど会話など無いが
同僚とは帰りに一杯やる事もたまにはある

雷管を作る時は特に注意が必要だ
僅かの摩擦や衝撃で爆発するんだ
この前も同僚が二人死んじまった
お偉いさんは
古墳を破壊して工場を建てた祟りなんて言ってたよ

軍人さんは銃を担いで戦場に行く
俺は毎日火薬を作り続ける
どちらも仕事だからね
それが俺達の仕事だからね

赤羽から王子、十条にかけては
明治初期の赤羽火薬庫に始まり
陸軍の兵器工場や軍用倉庫が
次々と建設されていた

四本木稲荷神社はこのような工場の
場内社であったという
現在でも工場の敷地内に稲荷社を見る事があるが
当時も同じように職員達に信奉されていたんだろう

歴史の大きな流れの中では
間違いだったかもしれないが
きっと人々は真面目に毎日を生きてただけで
今だって誰も
歴史の大きな流れなんて
見る事が出来るわけもなく

偉い人達が憲法解釈の変更について騒いでいるが
憲法解釈自体が屁理屈みたいなもので
そいつを変更する屁理屈の上塗りなのだから
たいした問題ではない
とっととやればいい

日本国憲法第九条の格好良さは
戦争は「永久にこれを放棄する」
と明確に言い切ってしまうところである
世界中の人に自慢したくなるほど格好いい

屁理屈を捏ねくりまわす暇があるなら
世界中の誰もがみんな幸せになれる道を
真面目に探すことにパワーを割くべきだ
第九条という格好いい憲法を持つ日本人こそ
国費を投じてでもやらなきゃならないことではないか
それが第九条の
屁理屈の要らない完全実現の方法ではないか
と思う




四本木稲荷神社
東京都北区滝野川3-61-1

王子稲荷と装束稲荷2013年03月02日 21時07分44秒

大晦日の夜
母ちゃん、青い火がいっぱいお稲荷さんに向かって登っていくよ
あれは狐火、大晦日には関八州のお稲荷様の狐が王子稲荷に集まるの
ほら、あの榎の下が集合場所でみんなあそこでお着替えやおめかしをするのよ

現在、装束稲荷から王子稲荷までの真直ぐの道は
JR京浜東北線の鋼鉄の線路で分断されている
狐達はさぞや困ったことだろう
だけど大丈夫
狐達のためにちゃんと線路を潜る地下道が用意されている
大晦日の夜
王子稲荷の境内をにぎわす人々のほとんどは
実はおめかしした狐達なのだそうだ



王子稲荷神社
東京都北区岸町1丁目12−26

装束稲荷神社
東京都北区王子2丁目30−14