新宿十二社熊野神社2014年03月16日 13時12分01秒

裸足で歩いたことなどなかった妃の足
剥がれた皮を引き摺り
深紅の足跡を山道に刻む

瞳から溢れる涙は
血が混じり美しい頬に赤い筋を描き
首と腕に懸けられた縄は
歩く度ギリギリと音を立てる

頂の刑場で
妃は五ヶ月の子を身籠っていることを訴える
このまま死ねば
この子も死に
私は姑獲鳥となって他人の子を奪い続け
永劫の悲しみを背負い続けるのです

処刑を躊躇する武士達の前で
妃は産気づき
出産した
王子はすぐに母の乳房に吸いつく

長い髪が宙に拡がり
妃の首は落ちる
鮮血迸る中
首の無い妃は王子を胸に抱き続け
王子はいつまでも母の乳を吸い続ける



熊野神社
東京都新宿区西新宿2-11-2