浅草神社2013年05月19日 16時27分28秒

浅草神社の祭神は三社様
土師真中知ハジノマナカチ
檜前浜成ヒノクマハマナリ
檜前武成ヒノクマタケナリ
という記紀神話などには登場しない
非常にローカルな神様である

前面には超有名な浅草寺を配し
明治の廃仏毀釈を力強く乗り切った
非常にユニークな神社である

東京の地は古来より
東国の覇権争いの大舞台だ
出雲族など異国の流入
大和朝廷による東夷征伐
平将門の東国支配の夢
太田道灌による江戸開城
そしてまたもや西から来た
征夷大将軍や新政府や天皇による支配

豪族の長が一族の象徴として神格化されるのが
記紀に登場する神様の原型だとすると
幾多の変遷により消滅していった神様(=豪族)も
少なくないであろう

そんな中
浜成、武成兄弟による隅田川からの
観音像引き上げ伝説や
土師真中知による浅草寺起源の話の陰に
この地の豪族の
生き残りを賭けた仕掛けを
見ることは出来ないだろうか

当時まだ新興であった仏教をいち早く取り入れ
観音像というシンボリックな偶像を置き
奇怪な伝説のもと
民衆の支持を集めていく

後からやってきた支配者達は
おろそかに破壊する訳にもいかず
江戸幕府にいたっては
家康を合祀までしている

近代においては
娯楽遊興の発信地となり
現在では日本を代表する観光スポットである
こうなってはもう
どんな支配者も為す術はないだろう

古代にそんなシナリオを描いた
知恵ある一族が存在したという想像は
果たして無効であろうか

支配と征服の歴史の中で
祭りの熱狂と酔狂の陰で
名前も残らず形も変えたが
この地の始まりにいた人々の思いは
しぶとく生き続けているに違いない


浅草神社
東京都台東区浅草2丁目3-1