三囲神社2017年04月23日 17時11分14秒


砂塵の中をキャラバンが行く
砂に焼けた頬
乾いた眼窩
陽は未だ落ちない

彼等の目的は何だ
東へ東へ
商品は運ばれる
産み出す利益こそが
彼等のモチベーションだ

地位や名誉には興味がない
歴史に名など残すものか
俺達は商人だ
東へ東へ
こんな海峡など
越えてしまえ

歴史が始まるもっと前から
続々とこの国に商人集団がやって来る
動物を獲ったり
木の実を摘んで
その日その日を暮らしてたこの国の人々は
海の向こうの見たこともない品々と
米や鉄を生産しては売り歩く
初めて見るビジネススキームに驚愕し
モノの価値という概念を知る

歴史が始まる頃にはすでに
彼等の王国は築かれていた
だが商人は歴史に名など残さない
秦氏など名を残す者は
政治介入の夢でも見てたものか

どうやら彼等が
鳥居を建てて社を建てて
神様を祀る神社の形式を
この国に持ち込んだらしい
彼等の神様の名は
倉稲魂命ウカノミタマノミコト宇迦能魂命
神社の数では日本で一番の
お稲荷さんのことである

戦乱の歴史が続く中でも
商人達は西へ東へ
この国中を駆けずり回る
歴史に名など残さない
だけど時代の
主役は俺達なのさ

江戸時代には名を馳せる豪商が登場する
江戸に進出してきた三井家が
この三囲神社を奉斎するのは
何も偶然ではなく
あの古代商人の神様ウカノミタマを
祀っているからだ

明治の世となり
武士が刀を捨て西欧に渡り
初めて見るビジネススキームに驚愕する
経済の仕組みを西欧から取り入れた
なんて言っているが
明治政府の田舎侍が無知だっただけで
歴史が始まる前から綿々と
古代商人の末裔達によって
既に専ら経済活動は行われていたのである
そしてその出自は
模範とすべしと言われた
シルクロードの起点に
繋がるのだ

大学出たら企業に就職してと
皆が商人になりたがる時代
砂漠の果てに
夢の国ジパングはあるだろうか

三囲神社

三囲神社

三囲神社

三囲神社
東京都墨田区向島2−5−17