鵲森宮2015年06月07日 15時51分58秒


1945年8月14日
150機に及ぶB-29の編隊が
昼下がりの大阪の空を埋める
空襲警報が響く
大阪砲兵工廠が
燃えている

明治維新の後
陸軍創設に当たって
大村益次郎は軍の中枢機関を
大阪城に集中させることを構想した
現在の大阪城公園
森ノ宮電車区
大阪ビジネスパークを包含する広大な敷地に
アジア最大級の兵器製造工場が建設される

大村益次郎の銅像の立つ
靖国神社の青銅鳥居も
大阪砲兵工廠で鋳造されたものだそうだ

猛火は近隣にも及んだが
すぐそばにある鵲森宮は延焼を逃れる
聖徳太子が建てたというこの神社
物部氏との戦の戦勝を祈念したものだという

鵲カササギは
朝鮮半島の伝説で
七夕の織姫と彦星をつなぐ
架け橋の役割を担う鳥だとか
こんなロマンチックな場所に
城とか軍事施設なんか建てるのが間違ってるよね

アメリカは何発の爆弾を落としたのだろう
残る不発弾があまりに危険で行政は
戦後20年近く工廠跡を放置
焼け跡の鉄くずを回収して
生計を立てる人が多数出現し
バラックがあちこちに作られたそうだ

大阪砲兵工廠跡地は今では
公園としてきれいに整地されたり
電車の車両基地とビジネス街に変貌したが
風景としてはさっぱりだ
無事だった神社とセットで
鉄くず回収で生きてた人の記憶とともに
巨大な戦争遺構を残す選択はなかったものか
旧本館の建物を
保存運動や文化庁の調査指示を無視して
大阪市は取り壊しを強行したそうだ

「戦争と戦争の間に俺たちはいる
それを忘れることはない
でもせめてきかせておくれ
悪夢ではないジンタのひびきを」
(「時代はサーカスの象にのって」頭脳警察 作詞:寺山修司、高取英)

鵲森宮

鵲森宮

鵲森宮

鵲森宮
大阪府大阪市中央区森ノ宮中央1-14-2