葺城稲荷〜誰か故郷を想わざる2013年02月02日 20時52分38秒


そこは屋根葺き職人の町だった
幕府の政策による強制的な代地への移転であったが
人々は逞しくその地を住処とした
そこで見つけた小さな祠を 俺達の神様にしようぜと
今日から俺達はお稲荷様の氏子だと
代々地域でこの神社を管理していくと約束した

時代は過ぎ、なだらかな丘は削られアスファルトの道路となり
周りには巨大なオフィスビルが建ち並び
少しずつそこを住処とする人は減っていった

私は北国で生まれ育ったので
今でも故郷へ帰ると
小さい頃遊んだ山や海がまるで同じ姿でそこに在るのを
当たり前のように思ってる

だから
東京を故郷に持つ人々が小さい頃遊んだ町を訪れた時
そこで何一つ懐かしい面影を見つけることができないとしたら
そこで一体何を想うのかを
私は理解することができない

心ある人の仕業だろうか
雨漏りが酷いのだろう小さな祠を守るため
建家の屋根に白いビニールシートが被せてある
嘗て此処は たくさんの屋根葺き職人の住む町であったのに


葺城稲荷神社
東京都港区虎ノ門4−1−3