諏訪神社2014年04月19日 16時05分25秒

祭りの日
真っ赤な着物を着せられ
藤蔓で後ろ手に縛られ
馬に乗せられる男の子
次の瞬間
複数の大人達に殴られ
馬から突き落とされる

男の子は再び馬に乗せられ
何処へか出立する
その後その男の子を見た者はいない

夥しい数の鹿の頭
室の中は血の臭いで充満する
神は
生け贄を欲する

諏訪神社の祭神は
建御名方神タケミナカタノカミ
農耕漁業の神とは明らかに性格を異にするこの神は
米や酒なんかでは満足しない
生け贄を
神は
生け贄を欲する

日本は農耕と漁業の国で
そいつが固有の文化であるなんて
薄っぺらいことを言う人がいるが
つい最近まで
日本には山で生きる民が多く存在し
山の民の文化が存在していた

彼等は狩猟の民であり
殺生戒なんぞの誰が持ち込んだか解らぬ
考え方など知ったことではなく
鳥獣を捕らえその肉を食す
そして彼等の神もまた鳥獣を好む

農耕技術は朝鮮半島から伝わったと歴史家は言う
であればそれ以前の日本人は
誰もが狩猟により生きる糧を得ていただろうし
糧を与えてくれる神への感謝や畏怖をきっと
抱いていただろう

長野県にある諏訪大社では
七年に一度の御柱祭が有名で
そのクライマックスでは
大木に乗った勇敢な男達が急峻な傾斜を一気に下る
時に死傷者が出てニュースになることもある

山の民はすっかり平地人に取り込まれ
今や生け贄の神事など許されるわけも無い
諏訪の神は七年に一度
事故による生け贄を待っているのかもしれない

神道なんていう一言では決して括れない
系統立て出来ない程の多様な信仰形態が
日本人の信仰の真実だ
万世一系だの祖先は農耕民族だのと
思い込みでしかない
狩猟の時代の残酷で野蛮な血が
今だってきっと流れてる



諏訪神社
東京都台東区駒形1-4-15