太郎稲荷2013年03月24日 15時52分52秒

時は享和三年
浅草田圃に突如群衆が溢れ出す
霊験あらたかと
九州筑後柳川藩立花家下屋敷の屋敷神であった太郎稲荷が
江戸の人々の間で大流行する

付近には飲食店が次々にオープン
吉原に程近いこともあるだろう
爆発的な活況を呈したわけである

ところが
半年後にはもう誰も見向きもしない
淋しく祠だけがポツンと佇んでいたことだろう

ところがところが
5年程後だろうか再ブームに火がつく
麻疹、はしかの流行に伴って
太郎稲荷が効くらしいぜと
光の速さで情報は伝播してく

その後も興味深いことに
幕末にかけて数十年周期で少なくとも3回はリバイバルヒットを繰り返している
おそらく遠くまで出向かなくても済むようにと
武家屋敷が集中する下谷の立花家中屋敷や亀戸の天祖神社にも太郎稲荷が置かれ大人気
さすがに麻疹治癒への効果は誰も信じなくなったが
唖が喋り出し、盲が目を開き、膝行が歩き出すという不思議なパワーは
時代が変わっても密かに信じられているのかもしれない

健康になれますとテレビが喋れば
翌日のスーパーから納豆が消えるのとたぶん一緒だ
ひょっとすると21世紀の今日にでも
太郎稲荷の大ブームが巻き起こってもおかしくはない



太郎稲荷大神
東京都台東区入谷2−19−2
西町太郎稲荷神社
東京都台東区東上野1−23−2
太郎稲荷神社
東京都江東区亀戸3−38−35