威徳稲荷大明神2013年09月17日 23時15分36秒

新宿のど真ん中に突如現れる巨大な男根
艶やかな女の白い手が
愛おしそうにそいつを撫でる

新宿花園神社の境内社のお稲荷さんに
木製の巨大な男根が祀られている
無機質な高層建築群の奥底で
こんな過去の牧歌的なものを見つけると
救われた気になる

だけど男根崇拝の心理は
過去のものだけでもないようだ
オリンピックの東京開催が決まり
経済効果が高まるらしい
仕事が増えて結構なことだが
それに便乗して
お台場にカジノを作るだの
地下鉄を24時間にするだの
欲を助長すれば経済が上向くだろうなんて
馬鹿にしやがって
行政の考えることはいつの世も
どうせ碌なもんじゃない
これから先
いくつもの男根を載せた神輿が登場するんだろう

アスリートのストイックさは学ぶべきことだ
勝利のひととき乱痴気騒ぎをするのも大いに結構
だけど
ヒステリックな健康指向や
上っ面のナショナリズムや
体育会的なファシズムを強要するのは
どうにも勘弁してくれ

男根崇拝的でまた兵隊気質丸出しの
奴らの下卑た冷やかしが僕の心臓を荒ませた
(「裏切られた心臓」A.ランボー、堀口大學訳)




威徳稲荷大明神
東京都新宿区新宿5丁目17-3 花園神社境内社