生国魂神社2015年05月10日 17時15分14秒


切り立つ岬の突端
眼下には砕け散る波
白い装束を纏う女が
恭しく筥を開け
帝の御衣を取り出す

細く白い腕で
高く掲げられた御衣
海の風が袖を通り抜ける
神が御衣を通り抜ける
新たな天皇の
世の安泰が約束される

上町台地の先端
現在大阪城のあるあたりに
生国魂神社はあった
歴代天皇の即位の後に
祭祀を行う場であったという

祭神は
生島大神イクシマオオカミ
足島大神タルシマオオカミ
の二神
海からの風を受ける儀式
古代からの産土神を祀る祭祀が
受け継がれていた

鎌倉時代までこの祭祀の記録が残っている
アマテラスを祖神とする皇統が
十分に確立していたにも関わらず
この地の産土神が
皇室によって祀られていたことになる

豊臣秀吉はこの聖なる地に
大阪城を築く
生国魂神社は南へ遷された
秀吉は自ら
神にでもなったつもりでいたのかもしれない
もう少し違う扱いをしておけば
あるいは歴史も違ってた
なんてことはねえか

さて現在の生国魂神社を訪れると
本殿の他に境内社が11社もあって
なかなかに楽しい
本殿のすぐ隣には
アマテラスが睨みを利かせてるのがわかり易い

鴫野神社という大阪ビジネスパークの開発に伴って
ここに遷された神社がある
もともとは弁天様なのだが
後の世に淀君が淀姫神として合祀されている
秀吉に無理やり遷されへそを曲げた産土神を
まあそう言わずと
なだめすかしているのかもしれない

生国魂神社

生国魂神社

生国魂神社
大阪府大阪市天王寺区生玉町13-9

鴫野神社

境内社 鴫野神社