杉山神社〜武蔵国六之宮2018年01月21日 18時48分09秒


逞しい父さん
どうにも僕は
あなたを超えることはできない
でも父さん
僕は僕のやることを
出来ることを見つけたんだ
父さん
見ててください
このごつごつの溶岩だらけの荒れ地を
緑の樹木で一杯にしてみせます
百年千年かかるかわからないけど
世界中で一番美しい国に
きっとしてみせます

「その上には松や杉の薄暗い森が影を作り、この樹木におおわれた山々の頂の上には、さらに遠い連山の藍色が浮かび出て、そのまた上にぼうと灰色に霞んだ山脈のシルエットが重なっている。」(神々の国の首都 小泉八雲)

「たとえば山では、自然林が伐採され建材用の杉植林、川にはダム、丘は切り崩され海岸を埋め立てる土砂に化け、海岸はコンクリートで塗りつぶされる。山村には無用とも思える林道が網の目のように走り、ひなびた孤島は産業廃棄物の墓場と化す」(犬と鬼 アレックス・カー)

武蔵国の六の宮である杉山神社の祭神は
五十猛命イタケルノミコト
同名同祭神の神社が
鶴見川流域に集中して分布している
江戸時代の記録では72社
現在44社が確認できる

イタケルはスサノオの息子
父とともに朝鮮半島へ渡り
木種を大量に持ち帰り
全国に植樹していった
という伝説を持つ

ニギハヤヒとは腹違いの兄弟になる
ニギハヤヒは王位を継ぐに相応しい
荒々しさなどを兼ね備えた
カリスマタイプ
イタケルは民衆への植樹指導など率先して行う
真面目で心優しい男
というイメージ

全国を転々と種を蒔いて歩いたイタケルは
最後に和歌山に到達する
紀伊国一宮である伊太祁曽神社の
祭神は言うまでもなくイタケルだ
紀伊の伊はイタケルのイだ

そんなイタケルが
関東のまとまった地域に
集中して祀られているのは謎である
として片付けられているが
私達はこの武蔵国の一宮から始まる
ニギハヤヒの系譜を見てきた訳で
正式な歴史には綴られない綴られていない
大和朝廷以前の王朝による支配が
この関東に及んでいたことの
さらなる証明に他ならない

そしてきっとその支配は
暴力的なものでは決してなく
植樹や製鉄の新技術を持って現れた人達を
驚嘆と歓悦の思いで
それこそ神を見る思いで
受け入れていったに違い無い

百年前に小泉八雲の著した書には
美しい日本の風景が綴られている
たかだか百年
一方で同様に外国人から見た
現在の日本を伝える書では
国土の破壊が繰り返される
無様な姿が晒される

たかだか百年のことだ
日本の美しい自然ってやつを
自分以外の誰かがどこかできっと守っていて
いつでもそこに行けばそこに在る
とみんなが信じているような気がする
だけどそんな場所なんか
本当に無い

現実は残念ながら不可逆だ
それを残念と思うのかも今や疑わしいが
公共事業が悪いとかいう単純な話ではない
進歩発展のために作り出した筈の制度と仕組み
巧妙なシステムがこれ以上の進歩を拒絶する
この国ではもう誰も何もできない
何もできないと気付かせないほどに
問題は地獄のように深い

杉山神社


杉山神社

杉山神社
神奈川県横浜市緑区西八朔町字宮前208


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