枚岡神社 ― 2017年02月11日 16時35分01秒
田圃の畦を壊した?
水を引く溝を埋めた?
何でそんな事をする奴がいるのだ
どういうつもりなのか全く理解できないが
丁度良い
スサノオの所業に加えてやろう
アマテラスのしょうもない弟
そんなイメージを後世まで残してやるのだ
ついでに神殿の中で糞でもした事にしろ
そして懸命にそれを庇う姉の姿
天皇の祖神の美しい姿
どうだ
傍にはいつもアメノコヤネが付き従う
最高の演出だろう
オロチ族を滅ぼした件か
そいつは有名すぎて嘘は書けねえな
いっそオロチを得体の知れぬ化け物にしてしまおう
アマテラスの弟なのだから
たまにはいい事もするさ
それにしても
この国中に置かれたスサノオの神社を
どおしたものか
民の人気は絶大だからな
本当の姿を皆知っている
まさか神社を潰す事は出来ないし
まあよい
千年もすれば
今我々が記しているこの書が
きっと真実となっている事だろう
千年たっても人間なんて
どうせ馬鹿のまんまだよ
神社は潰せないが
上手いこと祭神や由緒を変えちまえばいい
ニギハヤヒの名前は次々に消している
生駒の西にある神社だって
いつの間にかアメノコヤネが鎮座している
もともといたニギハヤヒは名前を変え
春日社から持ってきた事にする
ほら
何だか訳が分からなくなっただろう
本当の姿を知っている民が
死んじまえばそれで終わりさ
千年もすれば
これが真実さ
そんなもんさ
藤原不比等は
まるで要領を得ない無能な部下達の
遅々として進まぬ作業に苛立ちながら
生駒山の向こうに沈む夕陽を見ていた
死んじまえばそれで終わりさ
千年もすれば
これが真実さ
そんなもんさ
藤原不比等は
まるで要領を得ない無能な部下達の
遅々として進まぬ作業に苛立ちながら
生駒山の向こうに沈む夕陽を見ていた



枚岡神社
大阪府東大阪市出雲井町7-16
姫島神社 ― 2017年01月29日 17時13分16秒
太平洋戦争の末期
それまで日本が統治していた南洋諸島が
次々とアメリカ軍に占領されていく
そんな中
帝国陸海軍の軍人軍属31名と
南洋興発株式会社の社員1名および
同社社員の妻1名が
南海の孤島に取り残された
男32人と女1人
1人の女を巡って
殺し合いが始まる
女は島の女王となった
女を求め奪い合い殺し合う男達
その様を眺める女のその瞳は
喜悦に溢れていた
大阪市の西淀川区には
島のつく地名が幾つもある
歌島、竹島、出来島、中島、西島、姫島、百島、御幣島
今ではどこも島なんかではなく地続きの土地だ
遠い遠い古代
まだ海だった此処に
淀川が運ぶ土砂の堆積が
幾つもの島を形成していった名残だという
長い長い時間の中で
島々に半農半漁の集落が築かれていったらしい
人々の暮らしぶりを伝える文献など存在しないが
地名と神社がそのエビデンスとなる
西淀川区姫島には姫島神社がある
祀られているのは女神
阿迦留姫命アカルヒメノミコト
新羅国の沼の畔で昼寝をしていた女が
股座に射した光で妊娠
やがてこの女は赤い玉を産む
その玉がアカルヒメと化したという
周りを海に囲まれた小さな島
その閉ざされた世界で懸命に生きる人々
現れた姫は
熱狂的に受け入れられたのか
或いは疎まれたであろうか
神社の由緒によると
姫は女性達に機織や裁縫
焼き物や楽器を教え
病に苦しむ人には治療を施したとある
進んだ技術と呪術を持って
大陸から渡来した集団だったのだろう
大いに尊崇を持って受け入れられたことは
想像に難くない
情報技術は世界を拡げたのだろうか
結局は限られた人と閉じた場所の往復と
そんな島の生活のような毎日を
誰もが過ごしている
ニュースで言ってる異常な事件は
一人一人の孤島で起きているのかもしれない
女神のいない孤島
であれば
古代人のように
外に漕ぎ出すしかないではないか
この姫
かなり気の強い女だったようだ
調子に乗った旦那が
あんまり罵ったりするので
巫山戯るなと旦那を捨て
日本へやって来たのだという
その後旦那が姫を探して来日するが
二度と顔を合わせなかったそうだ
泣きながら姫を追いかけてきた
この旦那の名は
天日槍アメノヒボコ
その顛末はいつかの機会に
日本へやって来たのだという
その後旦那が姫を探して来日するが
二度と顔を合わせなかったそうだ
泣きながら姫を追いかけてきた
この旦那の名は
天日槍アメノヒボコ
その顛末はいつかの機会に


姫島神社
大阪府大阪市西淀川区姫島4-14-2
磐船神社 ― 2017年01月09日 18時37分54秒
幾千の星を波立たせ
巨大な船が銀河を往く
その艦首に佇むのは一人の男
遥か下方に太陽が現れる
男の横顔が浮かび上がる
威厳と自信に満ちたその顔
男はこの地を選んだ
ヒノモトのクニ
日本の国と
この地を呼んだ
轟音とともに船は着地し
男とその一族が降り立った
争いを好まぬこの地の人々は
男らの不思議な力に魅了される
月を読み歳を読み
人為的に作物が得られることを知った
土を掘り風を読み熱を操り
人為的に金属の道具が得られることを知った
次々に繰り出される神の言葉
男は人々の神となった
男は幾つもの名前で呼ばれた
大歳オオトシ
天火明命アメノホアカリノミコト
饒速日命ニギハヤヒノミコト
そして極め付けのフルネーム
天照国照彦天火明櫛玉饒速日命
アマテルクニテルヒコアメノホアカリクシタマニギハヤヒノミコト
何とも長い名前である
隕石のように天から降ってきて
天と地を賑わいで照らしまくるこの男を
畏怖と崇敬を持って
人々がその名を呼んだことは
容易に想像できるだろう
似たような話で思い出すのは
古事記や日本書紀における天孫降臨の件
天照大神の命によって
天照大神の孫である邇邇芸命ニニギノミコトが
高天原に降り立つ
その曾孫である神武天皇が大和の地に入り
初代天皇となって現代まで続いてるというのが
もっぱら巷間の常識だ
だがよく考えてみよう
神武はニギハヤヒから皇位を譲られているのだ
古事記や日本書紀を著すにあたって
先代の大王の活躍ぶりは
どうにも不都合極まりなかったのだろう
天から降ってきたなんていう
格好いい件はパクってしまえと
悉くこっち側に取り込んでしまった
というのが真実ではなかろうか
ニギハヤヒとニニギ
なんとなく名前が似てるしね
ひょっとして
僕らがイメージする日本の神様の代表
天照大神も実は
パクリの産物なのかもしれない
もう一度ニギハヤヒのフルネームを見て欲しい
その名の先頭に「天照」と明確にあるではないか
歴史と伝統溢れる権威の塊のあの伊勢神宮が
実はカラッポだったなんて
果たして言い過ぎでありましょうか
銀河を渡ってきたあの船は
大阪府交野市の山奥に現存する
大王の譲位の後
その役目を終えた船体は
すっかり石と化してしまったが
陰茎のように聳り立つ艦首は
あの男との船出を
今でもきっと待っている



千早神社 ― 2016年11月03日 21時58分33秒
後醍醐天皇は夢を見た
大木を見上げている
芳香が鼻をつく
葉は悉く南へ向かって茂り
南枝の一つは天を駆ける龍のようだ
雲に乗った二人の童子が現れ
こう言った
南枝の指す方角
そこが常に帝にとっての安泰な御座
どうか南枝を頼りに
後醍醐天皇は目覚めた
夢か
南枝
南の木
此処らに楠という名の者はおるか
伝説が伝説を産み
物語は不可逆的に膨張する
英雄譚を象徴化したその時
身勝手な民衆を統べることに
為政者は成功した
現政権を否定するクーデターは勝利し
そのクーデターは維新と呼ばれ
生き残りの暗殺者は総理大臣になり
江戸城は権力者たちの遊郭になる
静かに眠っていた南朝の亡霊達が
次々と呼び起こされる
500年以上放置されていた
こんな山奥の廃城に
突如絢爛な神社が建立される
教科書は子供達に
天皇への忠義のために戦い
最後には自決する
武将のことを教えた
このようになりなさいと
このように生きなさいと
そのように育った僕等の先輩達は
天皇への忠義のために
敵艦へ突っ込んで行ったり
手榴弾を胸に当て自決を選んだりした
戦争に敗れ
教科書から楠木正成は消えた
忠義なんていう言葉を
もう誰も理解できない
皇統が真っ二つに分裂した歴史
英雄を神様に仕立て上げた歴史
忠義と忠君を教えていた歴史
そんな風に歴史を教えてくれるなら
授業中に居眠りなんてしなかったのに
たかだか百年前の
自分の国の歴史すら
まともに語れない国
金剛山の千早神社には今だって
楠木正成が神として鎮座しているのに
ハロウィンのお祭り騒ぎが
空々しく感じるのは
歴史と神が不在だから
なのかもしれない
金剛山の千早神社には今だって
楠木正成が神として鎮座しているのに
ハロウィンのお祭り騒ぎが
空々しく感じるのは
歴史と神が不在だから
なのかもしれない



千早神社
大阪府南河内郡千早赤阪村大字千早
今宮戎神社 ― 2016年10月23日 17時28分03秒
民という漢字は
眼球に針を突き刺した様を表す
象形文字なのだそうだ
古代中国の王族は
眼球を潰して
都合よく奴隷を使役した
民という漢字は
イコール奴隷という意味なのだ
大阪では
えべっさんと呼ばれる今宮戎神社
正月の十日戎には
たくさんの商売人が集まる
手に手に笹を持ち
ほろ酔い心地で
一年の繁盛を祈願する
神社の起源は古い
聖徳太子が四天王寺を建立した際に
寺院守護のために配されたという
確かに四天王寺からピタリと西の方角にある
つまり当初は
為政者による政治的思惑によって
この神社は建てられた事がわかる
祭神は
天照大神
月読尊
素戔嗚尊
事代主神
聖徳太子らが殺戮した
物部守屋の荒ぶる魂を鎮めるため
物部氏の祖神ニギハヤヒの父
スサノオは
既に日向の神に取込まれているのだよと
言っているように見える
ただし
この祭神が当初からのものであるかは
詳かでない
大きかったのか小さかったのか
難波津の波打ち際に建てられた祠
周りには市が立ち
夥しい商品が流通する
人々は行き交い
祠は商売人達の信仰施設となる
そしていつしか
七福神のえびすが鎮座する
本来の意味は見えてはいないのかもしれないが
それを超越して剥奪した民のパワー
神も祭りも
今ではすっかり民のものだ
政治主導の経済政策などと
まことしやかに語られているが
商売人達はきっと
そんな政治家達を
クールな眼球で
眺めているに違いない
針など刺されてたまるかよ


今宮戎神社
大阪府大阪市浪速区恵美須西1-6-10
最近のコメント