甚内神社〜鳥越幻影①2013年06月23日 19時06分27秒

怪力無双の大泥棒、向坂甚内は
瘧オコリ(マラリア)でへろへろのところを
捕縛された
オコリにさえならなければ、畜生
と甚内は悔やみ
死んだ後俺はオコリの神になってやる
と処刑の前に叫んだという

処刑場は鳥越に在った
家康の入城後
日本橋に在った処刑場を鳥越に移している
処刑場の周りには
穢多頭の弾左衛門と非人頭の車善七の居住地が置かれ
彼等が刑の執行と後始末とを担った

甚内の強靭な体は
並の刀では切ることが出来ない
甚内は磔にされ
自分の所有物であった槍で突かれ
息絶える

その後罪人を引き回す際
弾左衛門配下の者が
その槍を担いで先頭に立つのが通例となった

鳥越川の岸に甚内の墓が作られ
オコリが治ると参詣者が後を絶たず
墓はいつしか神社となって今に至る

貧しく虐げられた人々にとっては
怪力無双の大泥棒が
最高のヒーローだったのかもしれない


甚内神社
東京都台東区浅草橋3-11-5