金王八幡宮2014年05月10日 17時44分29秒

五月に死んだ詩人は
五月に誕生したと詠う
呪詛となった詩人の言葉は
今も有効に機能しているだろうか

街中が舞台となって
街中が劇場となって
一般市民も警察官も
演者となり観客となる

スマホなんか無くても
場に存在することで
全員が関係者になる
傍観者など許されない

渋谷の金王八幡の境内と
その近くの自分の劇場で
詩人は乱闘事件を起こす
それもまた詩であり演劇のようだな

詩人は呪詛の言葉で
書を捨てて街へ出ろと
母を殺して家出しろと
競馬場へソープへ行けと人々を煽る
誰もが詩人の演出で市街劇を演じ始める

でももう今は詩人はいない
呪詛は解けてしまったようだ
ビルばかりが伸びてく街で
詩も物語も生まれなくなった街で
ほんとうはみんな
過激な市街劇が始まるのを待っているんだろ

「きらめく季節に
 誰があの帆を歌ったか
 つかの間の僕に
 過ぎてゆく時よ」
(「五月の詩・序詞」寺山修司)



金王八幡宮
東京都渋谷区渋谷3-5-12