大神神社 ― 2016年09月25日 17時29分35秒
春分と秋分のその日
太陽の道が
私のところに
貴方を連れてくる
偉大なる王よ
私は股を大きく拡げ
貴方を迎え入れる
誰もが貴方の
転生を待っている
待ち続けてる
箸の突き立てられた陰部
流れた血は
もうずっと昔に
乾いてしまった
三島由紀夫は豊饒の海の執筆にあたって
大神神社を訪れ
三輪山に登拝したのだそうだ
禁断の恋に破れ夭折した友人
主人公は転生した友人と
この大神神社で再会する
大神神社には本殿がない
菊の紋章を抱いた立派な拝殿
その裏には三ツ鳥居が聳え
禁忌の山と拝殿とを
永遠に区切っている
案内によれば
この三輪山そのものが
御神体なのだという
自然を拝む原初の信仰形態を
今に留めているのだそうだ
祭神は大物主神
大国主の和魂ニギミタマと言われている
第10代崇神天皇は
この三輪山の麓に都を置いた
パンデミックが発生し
国民が絶滅するほどの危機的状況となった
天皇は
これは祟りに違いないと
大いにビビった
そして
三輪山の神に
狂ったように祈った
この時に大物主を祀り云々と記紀にあるが
筋の通らない後付けの屁理屈だ
祟りの根元が三輪山にあることを
天皇は知っていたから
都をここに置いたであろうし
既にそこに祀られていた神に祈った
と考えるべきだ
では
そこにいた神とは?
そう
初代神武天皇が大和の地に攻め入る前に
この地を統治していた覇王
ニギハヤヒだ
ニギハヤヒは死後
この三輪山に葬られた
人望厚かった覇王
人々は熱烈に彼の転生を希求し
山に向かって祈りを捧げた
太陽の道の上にある箸墓古墳は
彼の転生のために
巫女が生贄となったのでは
という説もある
崇神天皇のビビりから
歴代天皇による三輪山信仰は続く訳だが
実態が民衆にバレちゃうと
権威が失墜しちまうってんで
ニギハヤヒの名前を消し
体良く歴史を捻じ曲げる作業が
延々と続けられ今に至る
三島由紀夫は豊饒の海の最終巻の入稿日に
陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地に乗り込んだ
三島はその時
自分の転生を信じていただろうか
バルコニーで叫んだ
文化の伝統を守るなんてことを
今では真面目に考える人などいない
インタビュー映像に残る憂いの言葉が虚しい
「日本というのはトランジスタの商人なのか」



大神神社
奈良県桜井市三輪1422
コメント
トラックバック
このエントリのトラックバックURL: http://dandyhandsomeboy.asablo.jp/blog/2016/09/25/8201043/tb
※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。
コメントをどうぞ
※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。
※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。