花園神社〜新宿の片隅で2015年01月25日 16時51分16秒


しゃがれた声で歌うその歌は
東京そのものだった
その歌で歌われる新宿が
僕らの東京だった

「知らない街でポリバケツを被って
それでも笑っていたさ
怖いものなんて何もなかったから」
(「街は今日も雨さ」SION)

嘗て沢山の花が咲き乱れていたこの地
いつの頃からあったのか誰にもわからない稲荷社
世は乱れ
大勢の人々が移動を繰り返し
その足跡が大きな道となった

統治者が現れ
此処は新たな宿場町になった
大勢の人々が密集する
人々は非日常の快楽を求め
それらを満たす供給者たちが
次から次に発生する
境内はいつも縁日の賑わいだ

戦争が終わり
焼け野原となった街
敗北で腑抜けになっている暇などなく
不法のバラックが逞しく
食と酒と性を求める人を集める
全焼した社殿の再建資金を集めようと
境内で見世物や演劇の興行が始まった

平和な世となった
神社の目と鼻の先は
東洋一の歓楽街と呼ばれる街になる
あらゆる欲望を満たすメニューが揃い
人々は非日常のスリルを求め
取り憑かれたようにこの街に集まる

一攫千金や成功を夢見て
日本中いたるところから
東京に人が集まる
俺を買ってくれと
きっと誰かが買ってくれると信じて

その歌を聴いて
東京に出て行ったあいつは
そして敗北して田舎に帰ったあいつは
今どこでどうしているかわからない
預かったレコードはまだ持ってる
今でも歌い続けるシンガーは
今だってしゃがれた声で
前を向いて生きろと歌う

「後ろに歩くように俺はできていない
今日を行くだけだ たとえ亀より遅くとも」
(「後ろに歩くように俺はできていない」SION)



花園神社
東京都新宿区新宿5-17-3

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